竹ノ花 - Take No Hana
凋叶棕 -Diao Ye Zong-
5:45ー人を出し抜きたいと思ったことが、おありですか。 至極、有り触れた野望でしょう。 ー人の所有物を奪おうと思ったことも、おありですね。 それも、良くある野望でしょう。 ーか弱き婦女子を犯そうと思ったことが、おありですか。 別に、不思議ではありませんね。 ー憎き者を殺そうと思ったことも、おありですね。 誰しも、一度は思うでしょう。 如何に清く生きたとて、 その情動は不可避のもの。 抗い様のない"原感情"に跪け。 さあ、その心の内。洗い浚いを以ては、 我が渇きを癒さん、糧と成り果てよー! ...私だけが知り得る、その秘めたる全てが、 新たなる痕を産み出す苗床となれ。 ーほら、貴方のことは、全部、理解って差し上げますから。 如何に、醜い思いでも。 ーほら、貴方のことを、誰も、共感ってくれはしないのですから。 如何に、それを求めても。 ーほら、私の前では、誰も、判明ってしまうのですから。 如何に、隠し遂せても。 ーほら、私が全て、それを、赦免って差し上げますから。 如何に、醜い思いでも。 激しく、黒く、惨憺たれ、 隠し通せぬ本性がそこに。 抗い様のない"原感情"に跪け。 偽りを抱えては、眠ることは赦さない。 あるがままの姿を、己と認めよ。 さあ、その心の内。全てに絶望しては、 我が渇きを満たさん、糧と成り果てよー! ...かくも醜き生物が。抱く幻想の果て。 砕いてはその深遠に、末期の輝きを見る。 ー餞に花束を。薔薇を添えて送ろう。 その心が最期に咲かせた花の彩をして。