ヒロイン - Heroine

モノクロの朝 巻き戻して
あなたの笑い声で染めなおす
ただ隣にいるだけで
フィルムにあかりが灯るの

ポップコーンに手が止まるほど
台本にない一言に夢中で
この胸のピントはあなたを映した

あなたのヒロインになりたいの
退屈なシーンさえ愛おしくなる
見つめ合うふたりフレームの中
映画みたいに映えなくたって
タイトルもない幸せを
あなたと描く 未完成のストーリー

曖昧な台詞 聞き返すたび
私じゃない影 コマ送りで浮かぶ
比べても仕方ないのになんて
触れた指先に不安が走った

あなたのヒロインは私がいい
永遠じゃなくても それでいい
静けさに映るその横顔が
泣きたくなるほど綺麗だった
キスシーンがカットされても
あなたとなぞる 未完成のストーリー

カメラが回っていない瞬間も
私の役はあなたを愛し抜くことだけど
だけど

あなたのヒロインでいさせてよ
何気ない明日を閉じ込めたくて
照明が落ちる一瞬くらいは
息も愛も全部奪われたい
書きかけのシナリオのまま
あなたと紡ぐ 終わりのないストーリー